ーアトリエ・アルテローザー
ようこそ、Atelier ArteRosaへ...
「Atelier ArteRosa」は、瀬戸焼の産地愛知県や美濃焼の産地岐阜県を拠点に、陶磁器装飾(上絵付け)に特化した「やきもの(セラミックアート)」を制作しています。陶磁器の器面に様々な素材を使って装飾を施す技法を用い、1990年代にイタリア・ミラノで見出した上絵付けの職人技や「名古屋絵付け」の伝統的職人技を大切にしながら、主にインテリアを彩る「やきもの」を生み出しています。
また文化活動として、時代の移り変わりと共に失われつつある「名古屋絵付け」伝統的職人技の創造的伝承を目指す活動を行っています。こうした活動は、2013年~2017年の5年間、文化庁の芸術支援を受けて行われた「名古屋文化遺産活用実行委員会」主催の文化事業に携わらせていただいたことから始めました。同委員会の文化事業終了後、様々な「やきもの」関係者様からのお声掛けをいただいたことにより、これまでの活動成果を基に、現在まで活動を続けております。
伝統的職人技の伝承に関連する活動の多くは、文化的側面からボランティア的活動としてのご依頼が多いため、協働する関係者様やそのご依頼内容によって、「なごや凸盛り隊」(主に名古屋文化遺産活用実行委員会の文化事業関連、2013年~2018年までの活動が中心)、またこれまでの団体の中での役割分担を引き継ぐかたちで、新たな拠点から、「名古屋絵付け職人技を残し伝える会」として活動を発信しています。
【陶磁器装飾(上絵付け)】
Atelier ArteRosaでは次のような「技法」を基に作品を制作しています。
名古屋周辺において発達した陶磁器加飾(上絵付け)を「名古屋絵付け」と呼んでいます。陶磁器用の洋絵具を油で溶くことから、職人言葉で「油溶き」とも呼ばれます。
800℃前後の低い温度で融けるガラス質の上絵用洋絵具と特種なオイルを調合してつくった色絵具を使います。
平筆で、「白素地」の表面に花や風景などの中心となるモチーフを一気呵成に描き、主に1回の焼成で完成させます。
平筆を使い、「かたぼかし」と「白抜き」という上絵付け独特の微妙な筆遣いにより一気呵成に描く、という意味では、最も難易度が高い描法と言えます。こうした描法(職人技)は、高齢となった職人さんの引退と共に失われつつあります。そこで、こうした描法を学び、今に伝え、未来に向かって創造する活動を行っています。
画像の1輪のバラは、下書きせず、背景からモチーフ中心のバラまで、イメージを基に描いた飾り皿です。「手描き」ならではの、やわらかく、動的な表現を目指しました。
「イッチン」と呼ばれる真鍮製の先金を使って施す「盛り上げ」装飾のことを、職人言葉で、「凸盛り」と言います。
名古屋周辺では最後の凸盛り職人と言われる、高木はるゑ氏が受け継いだ伝統的絵柄の一つに「凸盛り竜」があります。
「凸盛り竜」に見出せる技法には、大きく分けて、次の二つがあります。
①二重に盛る「二重盛り」、②ガラスの粒を施す「ガラス盛り(コラレン)。
こうした「凸盛り竜」技法を中心に取り上げ、名古屋絵付け職人技を「のこしつたえる」活動を行っています。
ArteRosaでは、「凸盛り竜」伝統技法の学びを踏まえ、職人技の創造的伝承を目的とした作品制作を行っています。
代表的な作品の一つとして、<凸盛りMilano> (2013年「技の伝承塾」参考作品)があります。高木はるゑ氏作「凸盛り竜」に見出せるイッチン遣いを「点的」「線的」「面的」「鱗状」などに分解し、それを組み合わせ、新たな装飾モチーフを創出する、というデザインアプローチによる参考作品です。
「ガラス盛り(コラレン)」技法をモチーフの中心に施した作品制作なども行っています。
こうしたコンセプトによって制作した作品は、「凸盛り」職人技の創造的伝承の一つの成果と位置づけています。こうした作品制作を基軸に、「名古屋絵付け」の魅力やその伝承活動の一端などを、「なごや凸盛り隊」「名古屋絵付け職人技を残し伝える会」で紹介しています。
1990年代、イタリア・ミラノに位置する小さな磁器装飾(上絵付け)工房で発達したフランスの様式に影響を受けた上絵付け(技法)です。「ArteRosaミラノスタイル」と呼んでいます。
速乾性のオイルで溶いた上絵具を使い、平筆で描きます。「スフマート(かたぼかし)」を大切にした描法で、一筆描きのように仕上げます。
大らかで楽しい上絵付けです。「東洋風」として、モチーフの輪郭線を筆ではなく、ペン(つけペン)で描くこともあります。